半導体ニュース 20251202

主要ニュース

1. メモリ価格の深刻な急騰と契約構造の変化 DRAMおよびNANDフラッシュメモリの価格は、ウェハ供給の逼迫を背景に急騰しており、特にNANDは最大60%以上の上昇が見込まれ、「本当の厳しさ」はこれから到来すると警告されています。この価格高騰を受け、Samsungの社内チームは、長期的な年次契約から価格変動に対応しやすい四半期ごとのDRAM取引へ切り替えました。さらに、Samsung半導体が、携帯電話部門とのDRAM長期契約締結を拒否したことも報じられており、市場の不安定さとサプライヤー側のリスク回避姿勢が示されています。
2. Google TPUの主要HBMサプライヤーとしてのSamsungの地位確立 Samsungは、高性能AIメモリであるHBM3Eにおいて性能を向上させ、GoogleのIronwood TPU（Tensor Processing Unit）の主要な供給元となりました。報道によると、SamsungはGoogle TPU向けHBM3Eの60%以上を供給しており、この優位性を2026年も維持する見込みです。この実績は、AIインフラの重要な構成要素であるHBM市場において、Samsungが主要な顧客との関係を強化し、競争力を確立していることを示しています。
3. NVIDIA、設計支援Synopsysに3100億円出資とTSMC A16ノード独占の可能性 NVIDIAは、半導体設計支援ソフトウェア大手であるSynopsysに3100億円を出資し、AIチップ設計における連携を強化する動きを見せました。また、NVIDIAはTSMCの次世代最先端ノードであるA16ノードの唯一の顧客であるとも報じられており、AI時代における技術ロードマップと設計環境の両面で、NVIDIAが強力なリーダーシップを維持しようとする戦略が際立っています。
4. Intel、18AノードでAppleを狙い、EMIBパッケージングをAmkorへ外部委託 Intelは、ファウンドリ事業の拡大に向け、最先端の18AノードでAppleのMシリーズチップ受注を狙っていると報じられています。また、先進パッケージング技術であるEMIBの生産拡大のため、初めての外部委託としてAmkorのSongdo施設を活用する計画であり、EMIBはGoogleやMediaTekのTPU向けにも採用されたとされています。これは、IntelがIDM 2.0戦略を本格化し、ファウンドリおよびパッケージング分野で競争力を高めていることを示します。
5. AIチップ供給制約で中国がBaiduのKunlunチップへ戦略を転換 米国による輸出規制強化によりAIチップの供給制約が激化する中、中国は国産化を加速させるため、Baidu（百度）のKunlunチップ（昆崙芯）へ戦略的な舵を切っています。この動きは、高性能なNVIDIAチップの入手が困難になる状況下で、中国国内のAIインフラ構築を維持するための重要な対応策であり、中国AIエコシステムの自立を目指す姿勢を反映しています。
6. Micron、台湾依存低減のため日本（広島）に96億ドル規模のHBM新工場を計画 Micron Technologyは、台湾への生産依存度を軽減するため、日本国内、特に広島に約96億ドル（約1兆4000億円）規模のHBM（高帯域幅メモリ）新工場を建設する計画を立案していると報じられました。この投資は、AI需要の核となるHBMの供給能力を多角化し、地政学的なリスクに対応するグローバルサプライチェーン再編の一環として位置づけられます。
7. AI相場の競争構造変化：OpenAI失速とGoogle陣営への資金シフト AI市場では、競争の激化と費用増大によりOpenAIが失速する一方で、GoogleがTPUなどの内製技術を推進するGoogle陣営に資金がシフトする「下克上」が起きていると報じられました。この動きは、AIインフラ市場において、NVIDIA GPUへの依存を避け、コスト効率と性能を最適化した垂直統合型のソリューションが競争力を持ち始めていることを示唆しています。
8. TSMC、HBM4E世代でベースダイ生産を引き継ぎ、N3Pで効率2倍を目指す TSMCは、次世代HBMであるHBM4Eにおいて、ロジックダイであるベースダイの生産を引き継ぐ計画を報じられました。TSMCは、カスタムC-HBM4Eの詳細を公開し、N3Pロジックダイの採用により、効率を従来の2倍に向上させることを目指しています。これは、AI時代の性能向上を支える先進パッケージング技術において、TSMCが主導権を握る意図を示しています。
9. Rapidusの潜在顧客が明らかに：日本の半導体復興への具体的な動き 日本の次世代半導体製造企業であるRapidusが主催したイベントに、具体的な潜在顧客が参加していたことが、経済産業省の幹部によって明らかにされました。この事実は、Rapidusが単なる技術開発段階に留まらず、2nmチップの試作ライン立ち上げに向け、国内および国際市場における具体的な顧客基盤の構築とビジネス機会の確保を積極的に進めていることを示唆しています。
10. 韓国の半導体輸出が単月新記録達成と長期ブーム予測 韓国の半導体部門は好調を維持しており、2025年11月の輸出額は単月で過去最高となる172.6億ドルに達しました。また、11月までの累積輸出額が既に前年通年を上回っています。この輸出増加は、世界的なAI需要に支えられた半導体ブームサイクルの継続を示しており、韓国経済における半導体産業の強い牽引力が再確認されています。

ニュース一覧