半導体ニュース 20251223

主要ニュース

1. SamsungのHBM4がNvidiaのテストをクリア、メモリ市場で逆転の兆し
   Samsung Electronicsの次世代メモリ「HBM4 SiP（システム・イン・パッケージ）」が、Nvidiaの性能テストにおいて競合を上回る結果を出したと報じられました。これまでSKハイニックスがリードしていたHBM市場ですが、Samsungは「再設計」を経て技術的な課題を克服し、自信を深めています。この成果により、AI半導体向けメモリの供給競争が激化し、市場シェアの逆転が起きる可能性が浮上しています。
2. TSMC、熊本第2工場を2nmプロセスへ転換か、遅延の噂は否定
   TSMCの熊本第2工場（JASM）について、当初計画の6nmプロセスから最先端の2nmプロセスへ製造技術を一気に引き上げるとの報道がなされました。また、TSMCは日本の工場建設が遅延しているとの噂に反論し、計画通り進める姿勢を示しています。これが実現すれば、日本国内での最先端半導体製造能力が飛躍的に向上し、AIやHPC向けの供給拠点が強化されることになります。
3. メモリ価格高騰と供給不足が深刻化、2027年まで続く予測も
   AIブームによる需要急増がメモリ供給を吸収し尽くしており、DRAMやNANDの価格が高騰しています。MicronやYMTCなどの主要メーカーは値上げや好決算を報告しており、Xiaomiの新型スマホやPC価格への転嫁が避けられない状況です。業界関係者からは、この「メモリ・スーパーサイクル」による不足状態が2027年まで続き、関連部材であるガラス基板なども逼迫するとの見通しが示されています。
4. 中国AIチップ企業の攻勢と米国の規制強化、BirenやMoore Threadsの動き
   中国のGPUメーカーMoore ThreadsがNvidiaに対抗する新AIチップ「華山」を発表し、Biren Technologyは香港でのIPOを開始しました。中国勢は米国の制裁下でもマルチパターニング技術などを駆使して先端チップ開発を進めています。これに対し、米国のシンクタンクは技術的な抜け穴を警告しており、米国政府は中国ハイテク企業への新たな投資規制を導入するなど、対立が深まっています。
5. クアルコム、PC向け半導体でゲーム互換性9割達成し攻勢強める
   クアルコムはPC向け半導体市場でのシェア拡大を狙い、同社製チップを搭載したPCが人気ゲームの約9割に対応したと発表しました。課題だった互換性の問題を解消しつつあり、ハイブリッドAI機能の強化や買収戦略と合わせて、IntelやAMDの牙城であるPC市場に食い込もうとしています。消費電力性能に優れたArmベースの「AI PC」普及を加速させる動きです。
6. IntelがSamsungに製造委託、ファウンドリ市場での提携と人材獲得競争
   Intelが、自社チップの一部製造をSamsungのファウンドリ部門に委託する注文を出したと報じられました。IDM（垂直統合型デバイスメーカー）としての復権を目指すIntelですが、Samsungとの実利的な提携も進めています。一方で、IntelによるTSMCからの人材引き抜きが注目を集めるなど、製造技術と人的リソースを巡る主要プレイヤー間の駆け引きが活発化しています。
7. インド半導体エコシステムの急拡大、ロームやタタなどが連携強化
   インドにおける半導体産業が急速に拡大しています。日本のロームはタタ・エレクトロニクスと製造に向けたパートナーシップを締結し、AOI Electronicsもインド企業Kaynesの事業拡大を支援しています。インド政府のAIガバナンス枠組み整備やグローバル企業の買収・提携を通じて、インドが世界の半導体サプライチェーンにおける新たな製造ハブとしての地位を固めつつあります。
8. TSMC、次世代パッケージング「CoPoS」を2026年半ばに稼働予定
   TSMCは、次世代のパッケージング技術である「CoPoS（Co-Packaged Optics System）」の装置を2026年半ばに稼働させる予定です。これはAIチップのデータ伝送速度と電力効率を劇的に向上させる光電融合技術の一環であり、海外サプライヤーとの連携を通じて台湾企業の技術革新を促しています。ムーアの法則の限界を超えるための実装技術競争が新たな段階に入りました。
9. STマイクロとSpaceX、Starlink支えるパートナーシップ10周年
   STマイクロエレクトロニクスとSpaceXは、衛星通信ネットワーク「Starlink」における協力関係が10周年を迎えたことを祝いました。STは地上局や衛星向けのチップ供給を通じて、グローバルな接続性の確保に貢献しています。宇宙産業と半導体産業の密接な連携は、6G通信やIoT接続の未来を見据えた重要なインフラ基盤となっており、今後も技術革新が期待されます。
10. ソニーセミコン、人型ロボットと光電融合技術に未来を託す
    ソニーセミコンダクタソリューションズは、スマートフォンの次なる成長領域として、人型ロボット（ヒューマノイド）や光電融合技術に照準を合わせています。イメージセンサーで培った技術を応用し、ロボットの「目」となるセンシング機能や、データセンターの省電力化に寄与する光通信技術の開発を強化し、2030年代の新たな収益の柱に育てる長期戦略を描いています。

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