半導体ニュース 20251220

主要ニュース

1. Samsung、業界初2nm AP「Exynos 2600」を公開し量産へ
   Samsungは、業界初の2nm GAAプロセスを採用したモバイル向けアプリケーションプロセッサ「Exynos 2600」の仕様を公開し、量産体制にあることを確認しました。新チップはAI性能が前世代比で113%向上しており、次期フラッグシップ「Galaxy S26」や「Galaxy Z Flip 8」への搭載が見込まれています。これはTSMCが先行する最先端ロジック市場において技術的な節目を達成したことを示します。
2. 米国、Nvidia H200の対中輸出リスクを精査しHuaweiとの格差指摘
   米国政府は、NvidiaのAIチップ「H200」の中国向け輸出が、意図せず中国のAI能力強化につながるリスクがあるとして精査を強めています。米国評議会は、現状の規制下でもNvidiaとHuaweiのAIチップ性能格差が2027年後半までに17倍に拡大すると予測する一方、輸出許可が中国の技術自立を助けるジレンマも指摘しており、米中技術覇権争いにおける規制運用の難しさが浮き彫りになっています。
3. 日本政府、Rapidusへの融資に対し80%の保証枠を整備
   日本政府は、最先端半導体の国産化を目指すRapidusが民間金融機関から受ける融資に対し、その80%を保証する法的枠組みを整える方針を固めました。2027年の2nmチップ量産開始に向けて必要となる数兆円規模の資金調達を円滑にするため、政府がリスクを分担することで民間資金の呼び込みを加速させます。これは国家プロジェクトとしてのRapidus支援が、財政面でより具体的な実行段階に入ったことを示しています。
4. Samsung、10nm未満のDRAM微細化で技術的ブレークスルー
   Samsung電子は、10nm未満のプロセスノード（0aおよび0bノード）をターゲットとしたDRAM製造技術において、重要なブレークスルーを達成したと発表しました。メモリの微細化が物理的限界に近づく中、新構造のトランジスタ技術などを導入することで、次世代DRAMの集積度と性能を向上させる道筋をつけました。これはAI需要で高まるメモリ帯域と容量の要求に応えるための基盤技術となります。
5. 台湾、TSMC最先端ノードの米国製造を制限する輸出禁止を検討
   台湾政府は、TSMCが開発する最先端の2nmプロセスなどの製造技術について、米国内工場での生産を制限する新たな輸出禁止措置を検討していると報じられました。台湾の「シリコンシールド」としての戦略的価値を維持するため、海外拠点の技術レベルを国内より数世代遅らせる方針を法制化する可能性があります。これは米国が進めるサプライチェーンの現地化戦略と摩擦を生む恐れがあります。
6. SKハイニックス、Nvidia近隣のシアトルに新オフィス設置へ
   韓国のSKハイニックスは、米国のシアトルに新たなオフィスを開設し、現地での事業展開を拡大すると報じられました。この拠点は主要顧客であるNvidiaやAmazonの本拠地に近く、AI向けメモリであるHBMなどの連携強化を目的としています。AI半導体エコシステムの中核である米国ビッグテックとの距離を物理的にも縮め、カスタマイズ対応や技術協力を加速させる戦略です。
7. Texas Instruments、テキサス州の新300mm工場から出荷開始
   米国のアナログ半導体大手Texas Instruments（TI）は、テキサス州シャーマンに新設した300mmウェーハ対応工場からのチップ出荷を開始しました。これは同社が計画している大規模な製造能力拡張の第一歩であり、将来的に同拠点で最大4つの工場が稼働する予定です。地政学的な供給リスクが高まる中、米国内での製造基盤を強化し、産業機器や自動車向けの長期的な需要増に対応します。
8. アナログ・デバイセズ、2026年から最大30%の値上げを計画
   アナログ半導体大手のアナログ・デバイセズ（ADI）は、競合のTIに追随する形で、2026年2月から製品価格を10%から30%引き上げる計画であると報じられました。インフレによる製造コストの上昇や設備投資負担の増加が背景にあります。半導体業界全体で価格転嫁の動きが広がっており、自動車や産業機器などの川下産業における部材コスト負担が今後さらに増大する見通しです。
9. Rapidus社長、Nvidiaチップ製造に意欲を示し基板技術も進展
   Rapidusの小池社長は、将来的にNvidiaのAIチップを自社工場で製造したいという強い意欲を表明しました。また、同社は先端半導体の性能を左右するパッケージ基板の主要部分の完成を発表しており、2nmプロセスの量産技術だけでなく、後工程を含めたトータルソリューションの確立をアピールしています。SEMICON Japanなどの場を通じて、顧客獲得に向けた技術的な信頼性の提示に注力しています。
10. 中国AMEC、CMP装置市場拡大へSizone買収を検討
    中国の半導体製造装置大手であるAMECは、化学機械研磨（CMP）装置メーカーのSizone Technologyの買収を検討しています。米国の輸出規制により先端装置の入手が制限される中、中国は国内サプライチェーンの自給率向上（内製化）を急いでいます。この買収が実現すれば、エッチング装置に強みを持つAMECの製品ポートフォリオが拡充され、中国国内の製造装置エコシステムの統合と強化が進みます。

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