2025年6月の半導体重要ニュース

6月のニュース源から抽出した重要なニュースTop10は以下の通りです。

  1. 米中技術覇権競争と関税政策の激化: トランプ政権による半導体関税戦略の見直しや中国のレアアース輸出規制が継続的に議論されており、両国間の貿易協議では技術輸出規制緩和も議題に上っています。米国は中国の半導体野心を設計段階から標的にしようとし、中国はこれに対抗して国産EDAツールやAIチップ設計システム「Qimeng」の開発を推進しています。台湾もHuaweiやSMICを輸出規制リストに追加し、米国の規制強化に対応しています。
  2. AI需要による半導体市場の力強い成長と投資加速: 2025年の世界半導体市場は前年比11.2%増の7000億ドル超と予測されており、特にAIチップ需要がファウンドリ市場の収益を牽引し、2025年第1四半期には前年同期比12%増を記録しました。GlobalFoundriesが米国での半導体製造強化に160億ドルを投資する計画を発表したほか、Micronも米国での先端DRAM製造・研究開発に43兆円を追加投資し、合計1000億ドル規模のメガファブ計画を進めています。一方で、Micronの工場建設は許認可や地域住民の反対により遅延しており、課題も浮上しています。
  3. 次世代メモリHBMの熾烈な競争と技術動向: 高性能AIチップに不可欠なHBM(High Bandwidth Memory)の競争が激化しており、SK hynixが2025年第1四半期にDRAM売上高でSamsungを抜き首位となりました。MicronはHBM4のサンプル出荷を開始し2026年の量産を目指しており、SK hynixはNVIDIAやMicrosoftと連携してカスタムHBM4Eの開発を主導している一方、SamsungはHBM3EのNVIDIA認証に再び失敗し9月に再試験を予定しています。また、DDR4メモリの価格が高騰し、DDR5と価格均衡に達する中で、MicronはDDR4の生産終了を発表しています。
  4. 韓国新政権によるAI・半導体産業育成への注力: 韓国では李在明氏が大統領に当選し、「AI 3大強国」を目指す方針を掲げ、AIチップ推進やコンピューティングインフラ・人材への投資を公約しています。李大統領は国内チップ生産への10%税額控除を提案し、SamsungとSK hynixへの9兆ウォン規模の半導体支援も視野に入れています。しかし、国家AIコンピューティングセンターの建設事業が再び入札不調に終わるなど、実現には課題も指摘されています。
  5. TSMCの最先端プロセスと工場建設の動向: TSMCは3nmプロセスの高い稼働率を維持し、2nmプロセスでは90%以上の歩留まりを達成したと報じられています。同社は2028年に1.4nmプロセスの量産を計画している一方 [Introductory summary from previous turn]、熊本第2工場の建設が交通渋滞問題により2025年半ばに遅延すると発表しました。TSMCは米国でのファブ建設を加速させていますが、パッケージング工場の候補地は未定のままです。また、TSMCと東京大学は先端半導体研究と人材育成のためのジョイントラボを設立しました。
  6. AIの電力消費問題と関連技術開発: AIの普及は電力消費の急増を招き、ChatGPTはGoogle検索の10倍の電力を消費すると試算されています。これに対応するため、データセンターの空調技術や、加速器を用いた半導体「露光」による消費電力9割削減技術光信号で計算する新型素子 など、省電力化に向けた技術開発が進められています。水素エネルギーがAIデータセンターのエネルギーソリューションとなりうるかどうかも議論されています。
  7. Intelの戦略転換と大規模リストラの噂: Intelは、7月に工場職を中心に15〜20%の大規模な従業員削減を計画していると報じられ、自動車部門の閉鎖も進めています。同社はNVIDIAに対抗するため、Cadence、Apple、Google出身の新リーダーを任命し、2026年に次世代Xeon CPUでデータセンター市場の再獲得を目指しています。Intelの18Aノードは、性能が25%向上し、消費電力が40%低減されると展示されました。
  8. 量子コンピューティングの実用化に向けた進展: IBMは、2029年までに誤り耐性を持つ量子スーパーコンピュータ「Quantum Starling」を構築する計画を発表しました。NVIDIAのジェンセン・ファンCEOも、量子コンピューティングが「数年以内に商用化される」と発言し、この技術の転換点到達を強調しています。東京大学や理化学研究所もスパコンと量子技術の融合で科学計算の加速を目指しています。
  9. Nintendo Switch 2の好調な立ち上がりとNVIDIA SoC: Nintendo Switch 2は発売後4日間で全世界で350万台以上を販売し、任天堂のコンソール販売記録を更新しました。NVIDIAのジェンセン・ファンCEOは、Switch 2に搭載される**カスタムSoCが「これまでNVIDIAが作ったものとは全く異なる」**と述べており、この新世代機がNVIDIAの技術革新のショーケースとなる可能性を示唆しています。
  10. 半導体後工程(パッケージング)分野の重要性増大: チップレット技術の台頭により、半導体後工程の重要性が再認識されており、日本OSAT連合会は「個では勝てない」として連携の必要性を訴えています。Samsungはパネル・レベル・パッケージ(PLP)の量産化に目途をつけ、LGイノテックも「コーパー・ポスト」技術で世界初の量産を開始、TSMCとASEもPLPで連携を強化し、310x310mmフォーマットに注目が集まっています。ヤマハロボティクスは後工程製造装置事業で2030年代に売上高1000億円を目指すなど、日本の企業もこの分野に積極投資しています。
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