半導体ニュース 20251225

主要ニュース

1. サムスンとSKハイニックス、2026年を前にHBM価格を約20%引き上げへ
   サムスン電子とSKハイニックスは、NVIDIAのH200やASIC需要の急増を受け、2026年の次世代規格への移行を前に、HBM3Eの価格を約20%引き上げる計画であると報じられました。PC向けメモリなどを含め、市場全体が「スーパーサイクル」と呼ばれる価格上昇局面に突入しており、DellなどのPC大手各社は2026年に向けた供給枠の確保と価格固定に奔走しています。
2. Apple、iPhone 17向けメモリの6割超をサムスンから調達か
   Appleは、次期「iPhone 17」に搭載されるLPDDR5Xメモリの60%から70%をサムスン電子から調達する方針を固めたと報じられました。これは続くiPhone 18の生産拡大も見据えた動きです。モバイルDRAM市場において、品質と供給能力の両面でサムスンが再びAppleの主要サプライヤーとしての地位を強固にし、競合に対するシェア優位性を高めていることを示唆しています。
3. Rapidus小池社長、600mm角の巨大基板を披露し2039年構想語る
   Rapidusの小池社長は、世界初となる600mm角の巨大なパッケージ基板を披露しました。これは2nm世代の半導体性能を最大化するための後工程技術であり、前工程だけでなくパッケージング分野でもゲームチェンジャーとなることを目指しています。また、2039年を見据えた長期的な工場構想も語られ、単なる受託製造を超えた、持続可能で拡張性のある日本の半導体エコシステム構築への強い意志が示されました。
4. トランプ政権、中国製チップへの関税強化を2027年6月まで猶予
   米国のトランプ次期政権は、中国製の半導体および電子部品に対する新たな関税措置を発表しましたが、その発効期限を2027年6月に設定しました。急激なサプライチェーンの混乱やインフレを回避するための猶予期間と見られますが、長期的にはデカップリングを推進する方針に変わりはありません。これにより企業は数年かけて供給網の「脱中国」を加速させる必要に迫られます。
5. Intelの新工場Fab 52、生産能力と技術でTSMCアリゾナを凌駕か
   Intelの新しいFab 52工場は、TSMCのアリゾナ工場（フェーズ1および2の合計）に匹敵する生産能力を持ち、さらにTSMCより進んだ「18A」プロセス技術を導入すると報じられました。これが実現すれば、米国内における最先端半導体の製造能力においてIntelが優位に立つ可能性があり、ファウンドリ市場での覇権奪還に向けた強力な布石となります。
6. TSMCの「N-2」規制が、米国でサムスンの商機を拡大させる
   TSMCが海外工場での製造技術を台湾本国より遅らせる「N-2（2世代前）」ルールを維持していることで、結果的にサムスン電子に米国での商機が転がり込んでいると分析されました。最先端のチップを米国内で調達したい顧客にとって、同等の制限がないサムスンなどが有力な選択肢となるため、TSMCの地政学的な安全保障戦略が、競合他社の顧客獲得を後押しする皮肉な状況が生まれています。
7. サムスン、テスラとxAIの目標達成に向けテキサス拠点を強化
   サムスン電子は、テキサス州の工場において人員を増強し、製造装置のアップグレードを進めています。これはテスラおよびxAI向けのチップ製造において、2026年の納入目標を達成するための動きです。イーロン・マスク氏率いる企業群との連携を深め、AIおよび自動運転向け半導体の主要な供給拠点として、米国工場の稼働体制を強化しています。
8. 半導体業界の売上高、来年にも1兆ドル突破へ
   バンク・オブ・アメリカは、半導体業界の売上高が来年にも1兆ドル（約150兆円超）を突破すると予測しました。AIブームが引き続き市場を強力に牽引しており、特に2026年に向けてこの成長傾向が加速する見通しです。同社はこれに伴い、NVIDIAやBroadcomなど6つの主要なチップ関連株を選定しており、業界全体がかつてない規模の好況期を迎えるとの強気な見方を示しています。
9. SMIC、成熟プロセス製品の価格を10%引き上げ
   中国のファウンドリ最大手SMICは、成熟プロセス（レガシーノード）の製品価格を10%引き上げたと報じられました。メモリ製品がこの値上げを主導しています。中国国内での内製化需要や、特定の成熟チップにおける需給の引き締まりが背景にあると見られ、長らく続いてきた価格下落競争からの転換点となる可能性があります。
10. 台湾の11月輸出注文が約40%増、米国のAI需要が牽引
    台湾の11月の輸出注文が前年同月比で約40%増加したことが明らかになりました。この急増は主に米国からのAI関連需要によるものです。デジタル経済の新たな時代においても、台湾がAIおよび半導体供給の世界的なハブであり続けることを裏付けるデータであり、地政学的なリスクが叫ばれる中でも、その産業的な重要性が依然として極めて高いことを示しています。

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