半導体ニュース 20251212

主要ニュース

1. Rapidus、2nmチップ開発に向けキヤノンとソフトバンクの支援を確保
   日本の半導体製造会社Rapidusは、最先端の2nmプロセス半導体の量産実現に向け、キヤノンおよびソフトバンクからの出資や支援を確保したと報じられました。キヤノンは数十億円規模の投資を検討中とされ、ソフトバンクとの連携も強化されます。この動きは、日本が次世代半導体の製造拠点を確立し、AIやHPC（高性能コンピューティング）分野での産業競争力を取り戻すための国家的なプロジェクトが、民間大手企業の資本と技術的バックアップを得て具体的に前進していることを示しています。
2. 米国がNVIDIA H200の対中輸出規制を緩和、SKハイニックスに恩恵
   米国政府は、NVIDIAのAIチップ「H200」の中国への輸出規制を緩和する方針を示しました。これにより、H200に搭載されるHBM（広帯域メモリ）の主要サプライヤーであるSKハイニックスが最大の恩恵を受けると見られています。一方で、中国企業はすでに独自の供給網構築や代替チップへの切り替えを進めており、アナリストからは中国市場がもはやH200を必要としない可能性も指摘されています。この決定は米中技術覇権争いにおける新たな局面を示唆しています。
3. サムスン電子会長とイーロン・マスク氏が会談、「サムテ同盟」の可能性
   サムスン電子のイ・ジェヨン会長とテスラのイーロン・マスクCEOが会談し、半導体分野での包括的な協力関係、いわゆる「サムテ（サムスン・テスラ）同盟」の構築について協議したと報じられました。サムスンの米国内ファウンドリ工場にテスラ専用のオフィスを開設する計画も浮上しており、完全自動運転（FSD）チップなどの製造において、サムスンがTSMCに対抗しうる主要なパートナーとしての地位を固めようとしている戦略的な動きが見て取れます。
4. TSMC、AI需要対応で熊本第2工場の製造プロセスを4nmへ高度化検討
   TSMCは、AI関連の半導体需要が急増していることを受け、日本に建設予定の熊本第2工場（JASM）の製造技術を、当初計画されていた6nm/7nmプロセスから、より微細な4nmプロセスへ転換することを検討していると報じられました。これが実現すれば、日本国内で製造可能な半導体の技術レベルが一気に引き上げられ、日本の顧客向けの高度なAIチップやHPCチップの供給能力が大幅に強化されることになります。
5. 中国SMIC、EUV露光装置なしで5nmプロセス生産を実現か
   中国のファウンドリ大手SMICが、米国の制裁により入手不可能なEUV（極端紫外線）露光装置を使用せず、既存のDUV装置を用いたマルチパターニング技術などを駆使して、5nmプロセス（N+3ノード）でのチップ生産に成功したと報じられました。歩留まりやコストの課題は残る可能性がありますが、これが事実であれば、中国が西側の技術封鎖を突破し、自力で先端プロセス開発を継続していることを証明する重要な技術的マイルストーンとなります。
6. サムスンとMicron、DRAM供給不足を受け異例のCES首脳会談へ
   サムスン電子のモバイル部門トップであるTM Roh氏とMicronのCEOが、2025年のCES（コンシューマー・エレクトロニクス・ショー）で会談を行う予定であると報じられました。モバイル向けDRAMの供給が逼迫している現状を受け、競合する大手メモリメーカー同士が直接協議を行うのは極めて異例です。AIブームによるメモリ需要の急増が、スマートフォンやPCなどの民生機器向けの供給チェーンに深刻な影響を与え始めていることを象徴しています。
7. 韓国、4680億ドル規模の半導体支援策でHBMとファブレスを強化
   韓国政府は、総額4680億ドル（約600兆ウォン以上）に上る大規模な半導体産業支援策を打ち出しました。この計画には、新しい製造拠点（ファブ）の建設支援に加え、現在リードしているHBM（高帯域メモリ）市場での優位性維持、および弱点とされるファブレス（設計）分野の抜本的な改革が含まれています。国家の総力を挙げて半導体エコシステム全体を強化し、台湾や米国との競争に勝ち抜くための長期的なロードマップです。
8. 世界の半導体四半期売上が初の2000億ドル突破、AIが成長を牽引
   調査会社Omdiaの報告によると、世界の半導体市場の四半期売上高が史上初めて2000億ドルの大台を突破しました。この歴史的な記録更新は、生成AIの普及に伴うデータセンター向けチップ需要の爆発的な増加が主因であり、半導体産業全体が強力な成長サイクルに入っていることを裏付けています。市場全体の収益拡大は今後も続くと予測され、AIがエレクトロニクス産業の最大の牽引役としての地位を確立しました。
9. SKハイニックス、NVIDIAと協力し超高速「AI-NAND」開発へ
   SKハイニックスはNVIDIAと連携し、2027年までに処理速度が1億IOPS（1秒あたりの入出力回数）に達する次世代の「AI-NAND」ソリューションの開発を目指していると報じられました。従来のHBMなどのDRAM技術に加え、データの保存領域であるNANDフラッシュメモリにおいても、AIワークロードに最適化した超高速アクセス技術が求められており、メモリメーカーがストレージ階層全体での性能向上に注力し始めていることを示しています。
10. 中国HygonとSugonの164億ドル規模の半導体合併が破談
    中国の半導体企業であるHygon Information TechnologyとSugonの間で計画されていた、評価額164億ドル（約2兆円以上）規模の合併交渉が中止され、破談となったことが報じられました。この合併は中国国内の計算機・半導体産業の再編を加速させるものとして注目されていましたが、内部のガバナンス問題や市場環境の変化、あるいは規制当局の動向などが影響した可能性があります。中国半導体業界の再編における難しさを露呈しました。

ニュース一覧