半導体ニュース 20251105

主要ニュース

1. TSMC、電力効率10倍に道筋 光電融合やインメモリー演算 TSMCは、AIや高性能計算（HPC）の需要増大に伴う電力消費の課題を解決するため、次世代コンピューティング技術を推進しています。具体的には、光電融合技術やインメモリー演算を採用することで、現在の技術と比較して電力効率を10倍に向上させる道筋をつけていると報じられています。これらの技術は、データセンターや先端デバイスの性能を大幅に引き上げる上で不可欠であり、将来の半導体設計における重要な方向性を示すものです。
2. クアルコムのAI200およびAI250、NvidiaのAIデータセンターチップ市場支配に挑む クアルコムは、AIデータセンターチップ市場においてNvidiaの支配的な地位に挑戦するため、新しいAIチップであるAI200およびAI250を投入しています。データセンターにおけるAI処理能力の需要が急増する中、クアルコムは高性能で競争力のあるソリューションを提供することで、市場シェアの獲得を目指しています。この動きは、AIアクセラレーター市場の競争を激化させ、多様な選択肢を顧客に提供することにつながる可能性があります。
3. サムスンとSKハイニックス、HBM利益の伸びとDDR5需要高騰の中で生産能力のジレンマに直面 サムスンとSKハイニックスは、AIブームにより高帯域幅メモリ（HBM）の利益が伸びている一方で、サーバーやPC向けの標準メモリであるDDR5の需要も高騰しており、生産能力の配分に関してジレンマに直面しています。HBMは収益性が高いものの、DDR5も市場から強く求められており、両社は限られた製造リソースをどのメモリ製品に優先的に振り分けるかという戦略的な意思決定を迫られています。
4. Ibiden、GenAI関連注文が予想を上回る中で2025年度の業績予想を引き上げ 主要なICパッケージ基板サプライヤーであるIbidenは、ジェネレーティブAI（GenAI）関連の注文が当初の期待を上回る勢いで増加していることを背景に、2025年度の財務予測を上方修正しました。この業績予想の引き上げは、高性能AIチップに対する需要の強さが、半導体チップのパッケージングを担うサプライチェーン企業に対し、具体的な収益増加として明確に反映されていることを示しています。
5. インテル出身のベテランが華虹の舵を握り、『中国のための中国』戦略を推進 インテルでの経験を持つベテラン幹部が華虹半導体の経営トップに就任し、「中国のための中国（China for China）」戦略を推進しています。これは、中国の半導体企業が、国際的な技術規制や競争が厳しくなる中で、国内市場に特化し、自立した技術開発とサプライチェーンの構築を加速させていることを示しています。国外の大手企業からの人材登用は、中国半導体産業の技術力強化と経営効率の改善を目指す動きの一環です。
6. インテル「18A」新工場潜入 復権へ「歩留まりは健全」 インテルは、同社の復権の鍵と位置づける次世代プロセス技術「18A」の導入を進める新工場に焦点を当てています。新工場に関するレポートでは、最先端ノードである18Aプロセスの歩留まり（イールド）が「健全である」と報告されており、インテルがAMDなど競合他社に肉薄されているCPU事業において、最先端製造能力を回復し、市場競争力を取り戻すための決意が示されています。
7. Apple、iPhone 17の需要急増を背景に、インドで初めてトップ5ブランド入り Appleは、iPhone 17の需要が急増したことにより、インドのスマートフォンブランドランキングで初めてトップ5入りを果たしました。これは、インド市場における高価格帯スマートフォンセグメントの成長を示しています。一方、MediaTekは引き続きスマートフォン用チップセット市場で46%という高いシェアを維持しており、インド市場が多様な価格帯で成長している様子がうかがえます。
8. 安世半導体、向中国のウェハー供給を断つ 商務部、対応表明 安世半導体（Nexperia）が中国へのウェハー供給を停止した件について、中国商務部がこの措置への対応を表明しました。商務部はこのサプライチェーン上の問題に関して、オランダ側が全責任を負うべきであるとの強い見解を示しています。この事態は、国際的な技術規制や地政学的な緊張が、半導体サプライチェーンの安定性に直接的な影響を与え、国家間の貿易摩擦を引き起こしていることを示しています。
9. SK hynixが2029～2031年のロードマップを発表―HBM5、GDDR7-Next、400層以上のNANDを搭載 SK hynixは、2029年から2031年という長期を見据えたメモリ技術のロードマップを公開しました。この計画には、将来の高性能コンピューティング向けとなるHBM5（High Bandwidth Memory 5）や、次世代グラフィックスメモリのGDDR7-Nextが含まれています。さらに、NANDフラッシュメモリについては、400層以上という超高積層化を達成する目標が示されており、今後のAI時代におけるデータストレージ需要に応える技術革新を予告しています。
10. 欧州および米国のIDM、自動車および産業制御分野で緩やかな回復を見せる 欧州および米国の垂直統合型デバイスメーカー（IDM）は、自動車および産業制御といった主要な市場セクターにおいて、緩やかながら回復の兆しを見せ始めています。テキサス・インスツルメンツ、STマイクロエレクトロニクス、NXPなどの企業が活動するこれらの分野では、過去の在庫調整期を経て、需要が徐々に安定化していることが示唆されます。ただし、市場の回復ペースは依然として緩慢であり、本格的な成長には時間を要する見込みです。

ニュース一覧