半導体ニュース 20251011

主要ニュース

1. TSMCが「驚異的な」71%のシェアで世界のファウンドリ市場を席巻 TSMCは世界のファウンドリ市場において「驚異的な」71%のシェアを確保し、競合他社にほとんど競争の余地を与えない支配的な地位を維持しています。また、2025年9月の売上高は前年同月比で31%増、9か月間の累積売上高も前年同期比36%増と、引き続き好調を維持しています。この好調の背景にはAI需要の継続的な増加があり、世界的な半導体販売額が8月に21.7%増となるなど、産業全体の成長を牽引しています。
2. 中国、技術取り締まりを拡大しクアルコムとTechInsightsを標的に 中国当局は、独占禁止法違反の疑いで米国の半導体大手クアルコムに対する調査を開始しました。これはイスラエル企業の買収を巡る動きに関連していると報じられており、クアルコムだけでなくTechInsightsも標的になっています。この措置は、米中間の技術摩擦の激化を示すものであり、半導体とレアアースに対する管理体制の強化が進む中、市場の警戒感を高める要因となり、米国株の大幅下落にもつながっています。
3. マイクロソフトが世界初の「スーパーコンピューター級」GB300 NVL72 Azureクラスターを導入 Microsoft Azureは、NVIDIAの最新かつ最強のAIシステムであるGB300「Blackwell Ultra」GPUを使用した、世界初のスーパーコンピューター級のGB300 NVL72クラスターを導入しました。この巨大クラスターは4,600個のGB300 GPUを接続し、兆パラメータを超えるAIモデルを稼働させることが可能です。これは、AI研究と開発を支えるための最先端インフラストラクチャの導入であり、高性能AIチップ向け先進設計の重要性を浮き彫りにしています。
4. 中国、レアアース統制を強化し、トランプ氏が対抗姿勢を示す 中国はレアアース（希土類）の統制を強化しており、これが世界のサプライチェーンに大きな影響を与える可能性があります。これに対し、米国のトランプ前大統領は、中国の「レアアース攻撃」に対抗する姿勢を示し、APECで習近平氏と会う理由はないと発言しました。半導体とレアアースに対する管理体制の強化は、米中間の貿易・技術摩擦の激化を背景としており、国際的な緊張が継続する主要な要因となっています。
5. IntelがIntel 18A採用の「Panther Lake」の量産をアリゾナ工場で開始 Intelは、世界最先端とされる「Intel 18A」プロセスを採用した次世代AI PCプラットフォーム「Panther Lake」の量産をアリゾナ工場で開始しました。この「Panther Lake」CPUは、年末までに一部の出荷が予定されています。Intelが技術的なロードマップを着実に実行し、最先端ノードの生産を米国国内で進めるこの動きは、AI PC市場での競争力を高めると同時に、米国が進める半導体国産化政策に貢献するものです。
6. NVIDIAのCoWoS需要、Blackwellと次期Rubinラインナップにより大幅増加へ NVIDIAの先進パッケージング技術であるCoWoS（Chip-on-Wafer-on-Substrate）に対する需要は、強力なBlackwellの受注と、次期AIラインナップであるRubinの登場により、年間で大幅に増加すると予想されています。これは、NVIDIAのAI GPUが業界を支配している現状と、AIチップの性能を向上させるための先進パッケージング技術の重要性を反映しています。この分野の需要増は、世界の300mmファブ装置投資が今後3年間で総額3,740億ドルに達する見通し といった、半導体産業全体の積極的な投資を後押ししています。
7. 米国株、ダウが878ドル安で続落、米中摩擦の警戒からナスダックも大幅安 米国株市場は、ダウ工業株30種平均が878ドル安で続落し、ナスダック総合指数も3.5%安と大幅な下落に見舞われました。市場は、中国による米クアルコム調査 やレアアース規制強化 など、米中間の貿易・技術摩擦の激化に対する警戒感を強めています。トランプ氏の発言も市場に影響を与え、「トランプ砲」を受けナスダックが急落し、機械取引によってマネーが逆流する現象も見られました。
8. Apple、Apple Intelligenceを刷新するためジョン・ジャナンドレアを交代へ Appleは、AI戦略の抜本的な見直しを進めており、自社のAIシステム「Apple Intelligence」を刷新し、GoogleやOpenAIといった競合他社に追いつくため、AI部門のリーダーであるジョン・ジャナンドレア氏を交代させる動きを見せています。このリーダーシップの変更は、AppleがAI分野での遅れを取り戻すための危機感の表れであり、同社がウェルネス戦略を再構築する など、ヘルスとAI機能を統合した新製品（例：AirPods Pro 3）の開発を加速させる中で、中核となるAI戦略の立て直しを図っています。
9. Apple、Qualcomm、MediaTekが2026年に初の2nm N2チップセットを発表へ Apple、Qualcomm、およびMediaTekの主要3社は、2026年に初の2nm N2チップセットを発表する見込みであり、次期N2Pリリースは否定的であるとの新たな噂が報じられています。この2nmへの移行は、モバイルおよび高性能コンピューティング分野の技術競争の激化を示しています。特にQualcommは、Samsungの2nm GAAプロセスで製造されたSnapdragon 8 Elite Gen 5のサンプルを受け取り、ポジティブな開発進捗が示唆されています。
10. 中国、完全国産の12インチSiCパイロットラインを稼働 中国は、完全な国産化を達成したとされる12インチSiC（炭化ケイ素）パイロットラインを稼働させたと報じられました。これにより、機器の100%国産化を達成し、SiCの生産能力が2.5倍に向上する見込みです。この動きは、中国が次世代半導体材料であるSiC分野での技術的自立と市場での主導権を確立しようとする強力な推進力を示しており、HuaweiのAI半導体拡大とも相まって、米中競争に大きな影響を与えると予測されています。

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