半導体ニュース 20251003

主要ニュース

1. OpenAIのStargateプロジェクトがDRAMスーパーサイクルを牽引 OpenAIは、大規模AIインフラプロジェクト「Stargate」のために、SamsungおよびSK hynixに対しHBM用DRAMの供給を要請しており、その規模は月間最大90万枚のウェハに達する可能性がある。この量は、世界のDRAM生産量全体の約40%を占める計算となり、AIチップ向けのカスタムASICへのHBM（高帯域メモリ）の大規模採用によって、数年間の市場停滞を破り「DRAMスーパーサイクル」を引き起こしている。SamsungとSK hynixは、この需要に対応するため、AIインフラ構築に向けて戦略的な提携を進めている。
2. 米国による50対50のチップ生産分担提案を台湾が拒否 米国政府は、半導体のサプライチェーンのレジリエンス強化を目的として、TSMCなどに対し、米国向けのチップ生産の半分を米国内で行うという「50対50の生産分担」を推進し、TSMCにとって大きな圧力となっている。しかし、台湾政府は、このチップ生産分担の提案を正式に拒否した。これにより、台湾と米国の間の貿易交渉は、未解決の半導体関税紛争も相まって停滞している状態にある。この米国の提案は、マレーシアなど他の製造拠点を持つ国にも貿易上の懸念をもたらしている。
3. Intel、ファウンドリ事業でライバルAMDの顧客獲得を模索 Intelは、アリゾナ州で18Aプロセスの生産を開始したと報じられており、今後の18Aおよび14Aノードの性能に強い自信を持っている。この自信を背景に、Intelは長年の宿敵であるAMDをファウンドリ顧客として確保するための初期交渉を進めている。これは、Intelがファウンドリ事業を本格化させ、市場の主要なプレーヤーとしての地位を確立しようとする大きな戦略的転換を示しており、半導体製造の競争環境を大きく変える可能性がある。
4. Samsung元従業員による中国へのDRAM技術流出で巨額の被害 Samsungの元従業員らが、18nmプロセスDRAM技術を中国企業（CXMT）へ不正に流出させた容疑で起訴され、拘束されたことが報じられた。韓国メディアによると、この技術流出により、前年だけで約5兆ウォン（約5600億円）もの被害が生じたと推定されている。この事件は、ハイテク産業における国家間の機密技術保護の重要性と、半導体技術を巡る激しい国際競争、特に中国の国産化推進戦略の裏側にある深刻な問題を示している。
5. メモリーチップ価格の急騰とDDR5への移行圧力 サプライヤーが在庫を抑制する戦略を取った結果、メモリーチップ（DRAMおよびNAND）の価格が急騰している。特にDRAMのスポット価格は主流の見積もりが5.4%上昇しており、中国の祝日後もさらなる価格上昇が予想されている。この市場の回復傾向は、AIチップ（HBM）による大規模な需要増加に起因している。また、DDR4の価格高騰は、産業用PC（IPC）企業に対し、より新しい規格であるDDR5への移行を加速させる圧力となっている。
6. 日本のRapidus、2nmプロセスで「主要な」米国顧客を獲得 日本の半導体受託製造企業Rapidusが、次世代の2nmプロセスに関して複数の「主要な」アメリカ企業を潜在的な顧客として確保したことが報じられた。特にIBMやTenstorrentが有力な候補として挙げられている。この動きは、RapidusがTSMCやIntelといった既存の巨大ファウンドリとの先端プロセス競争を本格的に加速させていることを示しており、日本の半導体産業復興に向けた重要な一歩となる。
7. QualcommがArmとのライセンス訴訟で重要な勝訴 Qualcommは、Armとの間で長らく争われていたライセンス契約訴訟において大勝を収めた。米国裁判所は、QualcommがNuviaの買収を通じて取得したOryonコアの設計技術を継続して使用できることを認め、Armの訴訟を棄却した。この法廷闘争の終結は、QualcommがArm v9技術を採用した次世代チップ（Snapdragon 8 Elite Gen 5など）の開発と生産をさらに推進する上で決定的な基盤となる。
8. UMC、2026年にサプライヤーへ15%の値下げを要求 台湾のUMC（ユナイテッド・マイクロエレクトロニクス）は、2026年に向け、供給業者に対して15%という大幅な価格引き下げを書面で求めるという異例の措置を取った。UMCは台湾第2位のファウンドリであり、この動きは主に成熟プロセスノード市場における需要の軟化、あるいは市場競争の激化を示すものと見られている。成熟ノードの市場再編の兆しとして、業界の注目を集めている。
9. Nvidiaが中国市場で苦戦する中、HuaweiがAIチップの代替を推進 米国の制裁措置の影響により、Nvidiaは中国市場でAIチップの販売において苦戦を強いられている。これを受けて、中国のHuaweiは、自社開発のAI半導体「昇騰（Ascend）」を用いて国内のAIチップ不足を補い、Nvidiaの市場真空を埋める動きを加速させている。この状況は、中国がAI分野において外国技術への依存を減らし、独自のエコシステムと技術進化（独自進化）を推進していることを明確に示している。
10. Xbox Game Passの価格急騰に対しユーザーの解約が殺到 Xbox Game Pass Ultimateの価格が29.99ドルに急騰するなど、サービス全体の価格が最大50%値上げされ、「Essential」「Premium」「Ultimate」という新たなプラン体系が導入された。この急激な価格上昇を受け、ユーザーの間で反発が起こり、サブスクリプションの解約ページに利用者が殺到し、システムが一時的に混乱した。Xboxの社長はGame Passの収益性を強調しているものの、消費者レベルでの影響は非常に大きい。

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