半導体ニュース 20250902

主要ニュース

1. TSMCの価格引き上げと市場シェア拡大 TSMCは、厳しい米国関税による利益率維持のため、最先端チップの価格を最大10％引き上げる見込みです。同社は2025年第2四半期にファウンドリ収益が前四半期比14.6%増と記録的な水準に達し、市場シェアも70%を獲得しました。特に2nmウェハーの需要が増加しており、2026年にはさらにシェアが拡大すると予測されています。この価格戦略は、半導体業界全体のコスト構造に大きな影響を与える可能性があります。
2. Rapidusの2nmプロセス開発動向 日本の半導体新会社Rapidusが開発する2nm “2HP”プロセスは、論理密度でTSMCのN2に匹敵し、Intelの18Aを大幅に上回ると報じられています。RapidusはKeysightと提携し、2nm GAAチップ向けの高精度PDK（プロセス設計キット）の実現を目指しています。imecのCEOもRapidusの開発の「速さ」に注目しており、半導体製造の未来が3D積層技術にあるとの見解を示しています。
3. Appleのサプライヤーへの自動化要求 Appleは、サプライヤーに対して製造コストの削減と自動化技術の導入を強力に推進しています。これらの要求に応じられないサプライヤーは、iPhoneの製造契約を含む重要なビジネスを失うリスクに直面する可能性があります。この動きは、Appleがサプライチェーン全体の効率化とコスト最適化をさらに進めるための戦略であり、サプライヤー各社には大幅な投資と生産体制の変革が求められると見られています。
4. 中国のAIチップ産業の動向と米中技術格差 中国のAIチップ産業では、カンブリコンがファーウェイの分離事業から有望なAI企業へと成長を遂げており、AlibabaもNVIDIAのギャップを埋めるべく最新AIチップを開発しています。しかし、ゴールドマン・サックスは、中国の先進チップ製造技術は西洋に比べ20年遅れていると分析しています。同時に、同社はカンブリコンの急速な発展を注視せざるを得ない状況にあります。
5. AMD EPYC SP7 “Venice” CPUの発表 AMDは、サーバー向け新CPU「EPYC SP7 “Venice”」を発表しました。このプロセッサは最大256個のZen 6コアを搭載し、最大1400Wまでスケーリング可能な高性能を実現します。高発熱に対応するため、新たな液冷コールドプレートの画像も公開されました。この発表は、データセンターや高性能コンピューティング分野におけるAMDの競争力を一層強化するものと期待されています。
6. Samsungの米国での採用拡大と設備投資再開 Samsungは、TeslaとAppleからの受注が好調なことを受け、米国での人材採用を拡大しています。テキサス州テイラーでは、半導体設備の注文を再開し、新たな責任者を任命して操業体制を刷新しました。これは、米国政府がSamsungとSKハイニックスに対する中国向け半導体製造装置のライセンスを撤回した 状況下で、米国における生産能力を強化し、サプライチェーンの安定化を図る戦略の一環と見られています。
7. Intel Core Ultra 5 235HXの性能向上 Intelの新型プロセッサ「Core Ultra 5 235HX」が、PassMarkベンチマークテストでCore i5 14500HXを圧倒する性能を発揮しました。シングルコアで30%、マルチコアで38%の性能向上を記録しています。Intelはまた、シングルコア性能を最大化するための「ソフトウェア定義スーパーコア」という新技術の特許を出願しており、今後のCPUアーキテクチャの進化と高性能化に期待が寄せられています。
8. DDR4価格の急騰 DDR4メモリの主要メーカーが供給を停止したため、市場価格が急騰しています。これは、DDR5への移行が進む中でDDR4の生産が縮小され、市場における供給が需要に追いつかなくなった結果とみられます。DDR4を利用する既存のPCユーザーや、コストを重視する消費者にとって、部品調達の負担が増大する可能性があります。市場の動向と今後の供給体制が引き続き注視されます。
9. AppleのEU向けiPhone 17 eSIM専用化の可能性 Appleは、iPhone 17シリーズをEU向けにeSIM専用モデルとして投入する可能性が報じられています。これは、物理SIMカードからeSIMへの世界的な移行を促す動きの始まりを示すものと見られています。もし実現すれば、EU圏のユーザーは物理SIMを使用できなくなり、通信契約や端末のアクティベーション方法に大きな変化が訪れるでしょう。この方針は、他の地域や競合メーカーにも影響を及ぼす可能性があります。
10. Pixel 10のディスプレイ不具合報告 Googleの次期スマートフォン「Pixel 10」について、オーナーからの報告により、ディスプレイに不具合が発生していることが明らかになりました。これらの問題は、ハードウェアまたはソフトウェアのいずれかに起因する可能性が指摘されており、製品の発売に向けて品質管理や初期対応が注目されます。早期の不具合報告は、潜在的な問題を特定する機会となると同時に、製品の初期評価に影響を与える可能性もあります。

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